WAN概要/PPP/HDLC


WAN概要

CiscoではWANのサービスを以下のように分類しています。

1, 回線交換 (回線スイッチング、Circuit Switching) :散発的なWAN利用が必要な場合、または常時接続のバックアップとして使用される。

2,パケット交換 (パケットスイッチング、Packet Switching) :複数企業やユーザが、パケット転送においてキャリア網内で帯域幅を互いに共有するようなネットワーク技術。その分、専用線よりコストが低い。しかし網内で輻輳が発生するとパケットは破棄されることもあります。(破棄されないようにキャリアと契約することは可能です。)企業が専用線ではコスト高だと判断したとき、代替として利用します。

パケット交換にはPVC接続とSVC接続があります。PVCは相手先固定接続であり、SVCは相手先選択接続になります。X.25ではSVCが、Frame RelayではPVCがよく利用されています。

3, 専用線(専用回線) :相手先が決まっており、常時接続用回線です。帯域を常時100%利用できるというメリットはありますが、逆に夜間などほとんど通信トラフィックがなくとも、24時間分のコストをかけることになるので、割高になってしまう可能性もあります。

     

 

WANサービスの選択

どのサービスを利用すればいいのかは、コストと必要帯域と距離がポイントになる。
単純にコストの高い順に並べると、専用線→パケット交換→ISDN→PSTNという順になります。
帯域の高い順では専用線・FrameRelay→X.25、PRI→BRI→PSTNになります。

回線交換のサービスは安いといっても帯域が狭いので、大量のデータ転送となると接続時間が長くなってしまう場合があります。その場合、常時接続サービスよりも割高になってしまうこともあるでしょう。転送したいデータ量はどのくらいなのかを24時間分洗い出し、どのサービスが一番適切なのかを見極めていきます。
また、遠距離となると専用線はかなりコスト高になってしまいますので、遠距離の場合はパケット交換の方がコストを抑えられます。
(しかし、実際にはいろいろなキャリアに見積もりを出すと、専用線でもお得なものが見つかる場合もあるので、ここでは「一般的には」という意味で話を進めています。)

 

WAN用語

CPE(Customer Premises Equipment)
顧客宅内機器。電話会社から供給されて顧客のサイトに設置される端末、電話機、モデムなどの端末機器。当該電話会社の電話網に接続するために使われる。 DTEはこれに当たる。
分界点(Demarc)
キャリア(電話会社)の機器と CPE の境界となる点。
ローカル ループ(Local loop)
電話の加入者の家屋から電話会社のセントラル オフィスまでの電話線。
CO(Central Office)
セントラル オフィスまたは局舎。特定の地域のローカル ループがすべて接続される地方電話会社の施設。加入者の回線交換が行われる場所でもある。
DCE(Data Communications Equipment (EIA) または Data Circuit-Terminating Equipment (ITU-T))
データ回線終端機器。通信ネットワークにおいて、通信伝送路と DTE とを接続するデバイス。DCE はネットワークへの物理接続の提供、トラフィックの伝送、DCE と DTE デバイスを同期させるためのクロック信号の送信を行う。モデムやインターフェイス カード、CSU/DSU、TA/NT1は DCE である。
DTE(Data Terminal Equipment)
データ端末機器。ユーザ ネットワーク インターフェイスにおけるユーザ側の装置である。データ伝送の送信元、宛先またはその両方としてサービスを行い、プロトコルに従ってデータ通信の制御を行う。DTE は DCE デバイス(例えばモデム)を介してデータネットワークに接続され、通常は DCE が発生したクロック信号を利用する。DTE には、コンピュータ(ホスト、端末)、ルータ、ブリッジ、プロトコル変換器、多重化装置といった機器がある。

PPP (Point-to-Point Protocol)

同期式および非同期式ポイントツーポイントのシリアルリンク上で、各種プロトコルを伝送するための標準プロトコル。異なるベンダー間のルータどうしの接続や、ダイヤルアップ接続を行う PC で使われる。SLIP は IP しかサポートしていなかったが、PPP は IP、IPX、ARA などのいくつかのネットワーク層プロトコルをサポートするように改良されている。PPP には、CHAP および PAP といったセキュリティ メカニズムも組み込まれている。

OSI参照モデル

PPP

ネットワーク層 IP IPX その他のレイヤ3プロトコル  
データリンク層 IPCP IPXCP その他多数 NCP(Network Control Program)
認証、圧縮、エラー検出、マルチリンク LCP(Link Control Protocol)
物理層 同期/非同期シリアル、ISDN、HSSIなどの物理メディア  
         

 

PAP/CHAP設定例

Router#conf t
Enter configuration commands, one per line. End with CNTL/Z.
Router(config)#hostname 1601
1601(config)#username 2503 password cisco
1601(config)#interface serial 0
1601(config-if)#ip address 10.0.0.2 255.0.0.0
1601(config-if)#encapsulation ppp
1601(config-if)#ppp authentication pap
1601(config-if)#ppp pap sent-username 1601 password cisco

 

1601#sh run
Building configuration...
!
hostname 1601
username 2503 password 7 0822455D0A16
!
interface Serial0
ip address 10.0.0.2 255.0.0.0
encapsulation ppp
ppp authentication pap

 

Router#conf t
Enter configuration commands, one per line. End with CNTL/Z.
Router(config)#hostname 2503
2503(config)#username 1601 password cisco
2503(config)#interface serial 0
2503(config-if)#ip address 10.0.0.1 255.0.0.0
2503(config-if)#encapsulation ppp
2503(config-if)#ppp authentication pap
2503(config-if)#ppp pap sent-username 2503 password cisco

 

2503#sh run
Building configuration...
!
hostname 2503
username 1601 password 7 1511021F0725
!
interface Serial0
ip address 10.0.0.1 255.0.0.0
encapsulation ppp
no ip route-cache
clockrate 64000
ppp authentication pap

 


HDLC (High-Level Data Link Control)

データリンク層(レイヤ2)カプセル化のひとつ。インタフェースに、 encapsulation hdlc コマンドで設定。

HDLCには2種類ありフレームフォーマットが違うので、それぞれは区別されている。

 


参照:Ciscoデバイス相互接続入門-CCNA試験番号640-507対応(ソフトバンク)/シスコネットプロ-トレーナー通信 / Cisco Connection Online

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