環境・循環型社会白書

 

毎年、環境省から環境・循環型社会白書という文章が発行されています。

インターネットでも見ることが出来ますので、エコ検定を受ける前にはざっと目を通して、最新の動向をチェックしておきましょう。

 

 

200712月、インドネシアのバリ島で、「気候変動枠組条約」の第13回締約国会議(COP13) 及び 京都議定書の第3回締約国会議が行われた。

ここで「バリ行動計画」を始めとして、京都議定書第一約束期間後の2013年以降の地球温暖化対策に関する合意が2009年の締約国会議で得られるよう作業を進めることに合意した。

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、第4次評価報告書において、地球温暖化の影響が世界の気候システムに多くの変化を引き起し、我々人類の将来にも重大な影響を及ぼすと予測している。

 

1997年に採択され、2005年に発効した京都議定書は、温室効果ガスの排出削減義務を先進国及び市場経済移行国(以下「附属書I国」という)に対し課す画期的なものでした。

これは「共通だが差異のある責任及び各国の能力の原則」に基づき、まずは附属書I国が率先して取り組むという考えを反映し、附属書I国以外の国は削減義務の対象外となっていました。

それに加え、最大排出国のアメリカが参加していないことから、京都議定書により削減義務を引き受けた国々の排出量は世界全体の約30%を占めるに過ぎないという課題があります(図111)。

また、京都議定書を採択した1997年(平成9年)以降も、世界は大きく変化し続け、京都議定書上削減義務のない開発途上国の経済発展などに伴う排出量が増加し、今後更なる増加(図112)が予想されています。

このため、IPCCなどが指摘している深刻な影響回避のために必要な温室効果ガスの大幅な削減には、すべての主要排出国の参加が必要とされています。


     

 

バリ会議では、2013年以降の新たな国際的な枠組みを決定するために、いつまでに、どのような行程を踏んで、何を議論するのかについて協議が行われました。

しかし、その交渉は難航しました。以前から開発途上国の間では、地球温暖化の責任は、産業革命以降、温室効果ガスの排出量を増加させてきた先進国にあり、排出削減の義務は先進国がまず負うべきであるとの根強い反発がありました。

一方、アメリカは、開発途上国も実効性のある枠組みへの参加が必要であると主張するなど、各国の考え方には大きな違いがありました。

このような中で我が国は、クールアース50を踏まえ、2013年以降の枠組みに関し、

  1. 2009年までに合意形成の必要があること
  2. すべての主要排出国が参加する新たな特別作業部会(条約AWG)を気候変動枠組条約の下に立ち上げ、京都議定書に基づく特別作業部会(議定書AWG)とも連携を図りつつ交渉を行うこと

等の我が国の基本的立場を説明し、活発に調整を行い、難産の末、バリ行動計画が採択されました。

また、議定書AWGでは、IPCCがこれまでに示したシナリオの中で、最も低い水準で大気中の温室効果ガス濃度を安定化させるためには、地球の温室効果ガスの排出量を今後10年から15年の間にピークに達するようにし、その後、今世紀半ばまでに2000年比50%を大幅に下回る極めて低い水準までに削減する必要があると指摘しています。

 

さらに、京都議定書第3回締約国会合では、開発途上国に対する適応策(避けられない温暖化の影響を回避・低減する対策)を支援するため、クリーン開発メカニズム(CDM)のクレジットの2%を原資として設置される「適応基金」の理事会を設置するなどの運営体制が決定されました。

これらの合意事項は、地球温暖化による悪影響を極力回避するため、京都議定書で削減義務のある我が国やEU等の先進国のほか、同議定書に不参加の最大排出国のアメリカを始め、近年排出量が急増している中国やインド、国土の水没に悩む小規模島嶼国、干ばつに苦しむアフリカ諸国など、立場や主張の違うすべての国が参加し、実効性のある枠組みの構築を目指したものです。

開発途上国は、自らの排出削減努力なくして地球温暖化の進行を食い止められないことが科学的に明らかになるにつれ、先進国の支援を条件としながらも、気候変動枠組条約の原則である「共通だが差異のある責任と各国の能力」の下で協調する方向に舵を切り始めました。

また、2013年以降の排出量削減目標やそれに至る手法等についても、気候変動枠組条約締約国間の新たな話合いの場ができたことにより、世界の地球温暖化対策は今、まさに新たな段階に入ったということができます。

各国の立場や主張の違いによる対立は依然として残っていますが、これまで京都議定書に不参加であったオーストラリアがバリ会議において同議定書への批准を表明するなど、明るい兆しも見え始めています。

今年の7月には我が国で北海道洞爺湖サミットが開催され、地球温暖化問題が昨年に引き続き主な議題として取り上げられます。

そのため我が国は、5月に主要開発途上国の参加も得て、G8環境大臣会合を神戸で開き、神戸イニシアティブを提唱するなど、準備を進めてきました。

先進国自らの削減努力、環境と経済の両立を図る開発途上国や地球温暖化による被害が危惧される国々への支援策などの問題に道筋を付け、地球温暖化問題の解決に向って更に進んでいく必要がある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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